背筋も凍るアメリカのチップ制度|従業員まさか、アレやってない?

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訳あって先日、アメリカに行ってきました。

そこはロサンゼルスの人気レストラン。

大きなお庭のついたカジュアルダイニングで、勝手に好きなテーブルを選んだら、レジに並んで食事や飲み物を注文し、所定の受け取りカウンターに向かうシステムです。

簡単なサイドメニューやドリンクはカウンターで受け取り、時間のかかるメインメニューはテーブルに持ってきてくれるので、番号札をもらいます。

まだ全員が揃っていなかったので、私とあと2人、3人でレジに並び、ドリンクを注文し、受け取りカウンターに行きました。

私以外の2人は現地に住んでいるアメリカ人です。

待っていると、オーダーしたドリンクと一緒に、頼んでいない「マカロニチーズ」が目の前に出てきました。

「あれれ???」

頼んでないのに・・・「持っていっていいわよ!」

美味しそうなマカロニチーズに目が釘付けになりますが、私たちの頼んだメニューではありません。

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ところがカウンターのアメリカ人スタッフのお姉さんは、「これ、あなた達が持っていっていいわよ!」

と言います。

「他の人が頼んだから作ったんだけど、いくら待っても誰も取りにこないのよ!」

と、ニコニコ笑いながら。

「やったー!」と喜ぶ私以外の2人。

私は心の中で、「え?」と思います。

私の仕事はシェフです。

料理を見たら、作りたてなのか、できてから時間が経っているのか、わかります。

「しばらく誰も取りにこない」というマカロニチーズは、湯気が出てアツアツ。

ソースがみずみずしく、「たった今盛り付けたばかり」に見えます。

ちょっとおかしいと思ったけれど、お料理を無料でもらってわーいと喜んでいるところに水を刺すのもなんなので、みんなと一緒に「サンキュー!」と店員さんに笑顔を返し、マカロニチーズをもらってその場を離れました。

やっぱり・・・嫌な予感は的中

それから1時間後。

人数も揃い、お料理やドリンクがテーブルに並んで、話もはずみます。

食べ物やドリンクの追加オーダーをしようと、もう一度レジに並びに行く人がちらほら出てきました。

彼らが戻ってくると、今度は「ドリンク無料でもらっちゃった!」ということが何度かありました。

ああ、やっぱり。。。

さっきもらったマカロニチーズは、誰かが置いていったものではない。

おそらく従業員が、ドリンクや食べ物を勝手にお客さんにあげて、チップを期待しているのだ、と思いました。

直接的に言うと、従業員がお店の食べ物や飲み物を立場を利用して盗み、直接お客さんに売っているということです。

私は同業者で、飲食店を運営する側です。

こんなこと常習的にされたらお店が潰れる、と思いました。

私たちひとつのテーブルで、2時間ぐらの間に何度もあったので、レストラン全体と考えると、すごい被害のはずです。

みんながお客目線で「わーい!」「ラッキー!!!」と喜んでいる横で、私ひとり、お店目線で「やばい!やばい!!やばい!!!」っとなってヒヤヒヤです。

この状況、お店の経営者は気がついているのでしょうか?

盗まれた食材のコスト、実はお客さんが払っている

おそらく従業員はそんなに悪いことをしている意識はなく、なんとなくやっているのでしょう。

この食材のコストは、最終的にはお客さんが支払っています。

ロサンゼルス内に3店舗ある大きなお店なので、コスト計算はちゃんとしているはず。

常習的に飲食物が無料でお客に渡され、それでもそのお店にちゃんと利益が出ているのであれば、そのレストランのメニューはかなり割高に設定しないと成り立たないはずです。

例を挙げるならば、ホテルに泊まってタオルを持って帰る人がいるけれど、その盗まれる一定数のタオル代もコストとして計算し、宿泊料金が設定されている、みたいなやつですよね。

実際、あのレストランで「みんなでシェア用」に私が買った看板メニューのサンドイッチの値段は$30(約4000円)でした。

サンドイッチにしてはかなり高額だし、ここは何もかも大きなアメリカなので、きっとみんなで分けて食べられるすごく大きいサンドイッチが出てくると思っていたら、サイズはちょっと大きいぐらいで意外にふつう。

お腹が空いている時なら頑張れば私でも食べ切れそうなサイズ感で、付け合わせがあるわけでもなく、このお店かなり割高だなあ、と思ったのです。

とうことで、このレストランでは従業員へのセキュリティが抜け抜け問題と重なり、アメリカのチップ制度、マジで闇!

曲がりなりにも同業の私にとって、背筋も凍る出来事だったのです。

アメリカ大手チェーンの不正できないチップ制度

その数日前にファミリーレストランのデニーズにも行ったのですが、後から思い返してみれば、さすが大手だけあって、そのような不正はできないシステムでした。

お会計は最後にレジに行き、お客さんが何%のチップを払うかタッチパネルのボタンを押して選び、そこで出てきた最終的な金額を支払います。

テーブルの担当が決まっていて、私の支払ったチップの一部か全部がウエイトレスの女性に還元されるようになっているのでしょう。

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サービスを受けてからチップの割合をお客さんが決めるので、食事中、ウエイトレスの女性は「コーヒーのおかわりはいかが?」「お味はいかが?」「何か足りないものはない?」と、ファミレスながらしっかりサービスしてくれました。

このやり方だと、従業員はちゃんとサービスを提供し、それがお店のためにも自分のためにもなります。

顧客はサービスに応じたチップを払い、払ったチップは従業員に渡るので、従業員側も、店側も、あんな大胆な不正をすることはできません。

シンプルで普通っぽく見えますが、さすが長く続いている大手だけあって、しっかり考えられたシステムだと思いました。

イギリスでは同じことは起こらない

イギリスの居酒屋「英国式パブ」では、先のレストラン同様、カウンターで先にお金を払い、ドリンクをもらって好きなテーブルにつくシステムです。

でもチップは最初からレシートに含まれており、従業員に直接チップを渡す習慣もアメリカほど根付いていません。

チップ目的で従業員が飲み物や食べ物をお客に無料で渡すところは一度も見たことがありません。

なので、チップ制度の習慣化しているアメリカで、従業員がお客さんに飲食物を無料で配る場面を数時間の間に何度も見るのは、ホラー映画のように怖かったです。

これでひとつお利口になったので、似たような不正が今後自分のお店で決して起こらないよう、正しくスキのないシステム作りに勤めていこうと思います。

うちのスタッフで過去にこんなことをした人は1人もいないはずですが(たぶん)、今後どんな人が入ってくるかもわかりません。

抜け抜けのスキを作ったせいでお店の経営を圧迫したり、そのコストを無駄に顧客に追わせたりしないよう、運営側の責任は重大だと思いました。

ではでは。😊

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