イギリスのコロナ状況:英アストラゼネカのワクチンを打ってみた

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アストラゼネカのワクチンをイギリスで接種しました

先日ロンドンで「アストラゼネカのワクチン(1回目)を接種してきました。

イギリスはワクチン接種が非常に進んでいて、イスラエルとアラブ首長国連邦についでワクチン接種率が世界第3位だそうです。

BBCニュースによると、イギリス政府は自国分のアストラゼネカワクチンを1億本押さえ、残りをちょっとずつ海外に輸出しているらしいです。

イギリスの人口は約6千700万人なので、2回接種の点や、打たない人や時間差などを考えると、国民全員分のワクチンをキープしていてくれていると言うことになります。そして、私のようにイギリスに住む日本人が受け身でいる場合でも、もれなく接種させてくれます。

自分から何もしなくても、自分の番が来ると国から携帯のショートメール(テキスト)でに招待がきて、簡単にオンライン予約ができるので、手続きが非常にスムースでした。もちろん接種は無料です。(コロナワクチンが有料と勘違いしている方が多いのですが、日本を含む他の多くの国で無料で接種できます)

打ってみての感想や、英国制アストラゼネカワクチンについて報道されていること、副作用や副反応の度合いなどについて、感想を交えて詳しく書いてみたいと思います。

ロンドンの治験会社に8年間勤務していました

私は2002年に学生ビザでロンドンに来て、2003年に日系の臨床試験の会社に現地就職しました。

その後イギリスの治験会社への転職を経て、2011年10月に退職するまで新薬開発の現場で働いています。

仕事内容は、イギリスで治験に参加する日本人の参加者の方の健康診断をしたり、治験や新薬についての説明をしたり、日本人参加者の方がイギリス人ドクターから英語で薬の説明を受ける際、立ち会って通訳をしたりというものでした。

その経験を踏まえ、異例のスピード承認で不安がられている新型コロナのワクチンについて、自分なりの考えを共有したいと思います。

ただし私は医療資格を持たない一般人なので、医療の専門家の方とは意見が違うかもしれません。「臨床試験会社に8年間勤めていたお友達の話」のような軽い感じで聞いていただければと思います。

イギリス・アストラゼネカ社のワクチンとは?

アストラゼネカは、イギリスの大手の製薬会社です。私も治験会社にいたときに、何度かアストラゼネカの新薬のプロジェクトに携わったことがあります。

もしかしたら、日本にいらっしゃる一般の方は聞いたことがない社名かもしれませんが、イギリスでは大変有名な会社です。日本で言えば「大塚製薬」とか「大正製薬」ぐらいの感じでしょうか。

アストラゼネカのワクチンは、イギリスのオックスフォード大学との共同開発のもので、副反応による血栓などが報道される一方、有効性が非常に高いという点では反対意見はほどんど聞かれていません。

3月20日ごろのBBCの報道では新型コロナウィルスの症状を79%を押さえ、重症化を100%防ぐと言っていました。

血栓などの副作用が心配されているけど?

アストラゼネカのワクチンは、血栓の副作用があると多く報道され、心配されていました。

私もなんとなく入ってくるアストラゼネカワクチンのネガティブなイメージから、自分に不意打ちのようにワクチン接種の案内がきた時、ファイザー製のワクチンを接種するのか、アストラゼネカ製なのか、ということがまっさきに頭をよぎりました。

それで、アストラゼネカワクチンの血栓作用について調べてみるたところ、2000万人が接種して、そのうち25人に血栓の症状が出た、という数字が出てきたので、それを知って「なーんだ!」と思いました。

2000万人中25人なら、ほとんど起こってないのといっしょ、と直感的に思ったからです。

治験のデータとしてよく聞かれるたとえ話で、たとえば末期癌の患者300人に新薬を与えたら、半年以内に10名が死亡しました、というのがあったします。

しかし、末期癌の患者さんが300人いたら、半年以内には10名以上がなくなってもおかしくない状況で、もし新薬を飲んでいなかったら20名が亡くっていたかもしれない。

これは治験会社で働いていればよく聞く話で、よく考えればわかることなのですが、そういう話を聞いたことがない一般の方は、2000万人中25人に血栓がでた、というデータでも、「え!ワクチンで血栓の副作用が出るの!危ない!」と思ってしまうケースの方が多いのではないかと思います。私は慣れていたのでそのような驚きはありませんでした。

案の定、その後血栓はアストラゼネカワクチン接種との関連性は認められない、という発表があったので、やっぱりね、とも思いました。

副作用については心配する気が起きなかった

という経緯があったので、2000万人のうち25人に血栓が出た、という実際の数字を知った時、私が思ったのは、それが一番心配されているということは、アストラゼネカのワクチンにはほとんど副作用がないのだろう、ということでした。

その後、「安全性の確認が不十分だから」という理由で2021年3月初めごろにフランスで接種中止が発表されましたが、2週間後にはフランスでの接種が再開されています。

これを私は「安全性の確認が十分になった」というふうに受け取っています。

また、アメリカでも、アストラゼネカのワクチンは「データが古すぎる」という理由で差し止めになっていましたが、新しいデータを提出したということで、2021年3月下旬現在、アメリカでも接種が解禁になっています。

それについては、へえ、アストラゼネカが提出したデータ、古かったんだ、こんな大事な時に何やってんだろう、と思っていたのですが、その後古すぎたデータというのが、2021年2月15日のものだったと聞いて、二度びっくり。(ぜんぜん古くないじゃん!!!ってことです)そこがひっかかるなんて、と、ちょっと違和感を持ちました。

また、急いで承認をウケたので、データ不足だから危ない、という点についても、私はまったく心配する気が起きません。

なぜなら、もう世界中で何億人(?)の人がすでに接種しており、これは治験で言うところの「フェーズ3」という、多数(数百人とか)の被験者からデータをとり、安全性を確認するという最終的な段階に使われる数字よりも数百倍大きな、莫大なデータが既にとれているからです。

安心感を胸に、自分の右腕に打ってきた

ということで、NHS(イギリスの国民医療保険)からのご招待から予約日時までは2日ぐらいあったので、ワクチンについてよく調べ、安心してワクチンを打ちに行くことができました。

自分の打つワクチンがアストラゼネカかファイザーか、ということはどこにも書いてなくて、ワクチンセンターに到着して説明を受けるまではわからなかったのですが、まあ、ここはイギリスなのと、先に受けた日本人の友達がアストラゼネカだった、と聞いていたので、まちがいなくアストラゼネカだろうな、とは思っていました。

ワクチンセンターに到着すると、名前と生年月日を聞かれて予約を確認し、レーザー照射ピストルみたいのでおでこの体温を測ってもらい、アンケート用紙を渡されました。

アンケート用紙は、「2週間以内にコロナにかかりましたか?」とか、「最近ワクチンを受けましたか」とか、病歴や飲んでいる薬、アレルギーなどについてイエス・ノーでチェックをつけるものでした。

全部ノーだったので、よく読んでチェックを記入してサインし、ワクチンを打ってくれる看護婦さんのいる部屋へ。

部屋にはいると、看護師さんからまず、「今日あなたが摂取するのはアストラゼネカのワクチンです」という説明があり、アンケート用紙に記入した項目の確認と、生年月日、妊娠している可能性はありますかなどの追加の質問をされ、右腕に打つか左腕に打つか聞かれtので、「左利きなので右腕に」とお願いして、ワクチンを打ってもらいました。

ワクチンセンターはご覧の通り、ガラガラで、看護師さんに「忙しいですか?」と聞いたら、「ご覧の通り、ぜんぜんよ」とのことでした。

接種後は、患部をよく揉んだ

さて、注射器のキャップをとり、ワクチン接種の瞬間です。

まあ、何百本も打っているのでしょう、彼女は20代の若い女性スタッフでしたがとても慣れていて、チクっと打たれて一瞬で終わり。

小さい絆創膏を貼ってもらい、1度目の接種日を記入したカードをもらって、「はい、おつかれさま」って感じで、すぐに退室。

以前、破傷風の予防注射をした時に、打ったところが2-3日痛かったことがあったので、接種後は待合室に戻り、椅子に座って患部を2分ぐらいよく揉んで薬をしっかり散らしました。

その後、副作用起きるのかなあ、どうなるかなあ、と心配したんですが、私の場合、頭痛や倦怠感などの副作用や副反応らしきものはまったくなく、翌日に打ったところの筋肉がちょっと痛かったぐらい。

念のために休みの前日に接種の予約を入れたのですが、休まずに普通に仕事はできたと思います。

ワクチンを摂取すれば、絶対にコロナにかからないのか?

ワクチンを摂取すると、コロナにかかっても非常に症状が出にくくなりますが、コロナに感染しないわけではありません。ワクチンのしおりによると、どのようなワクチンでも完全に防げるというものはないそうです。

ワクチンを打っても、コロナに感染して知らないうちにウィルスを運んでしまうことには変わりなく、また異変種の中にはワクチンが効かないものもあるので、ワクチンが完全にいきわたっても異変種が流行る可能性があるので引き続き注意は必要だと思います。

ワクチンを接種したらいつから効果がでるのか?

ワクチンの効果はいつから出るのか、ということをはっきり書いてある信頼できる情報がなかなかみつからないのですが、接種のときにもらったリーフレットには「ワクチン接種前に、自分が気づかない打ちに入れ違いでコロナにかかっていることがある」というような記載があったので、わりとすぐに効果が出るのかな、と思いました。

効果はどのくらい続くのか?

コロナのワクチンの効果は、2度目のワクチンを接種してから、半年ぐらいと言われています。これは、実際にコロナにかかって自分で免疫ができた時も同様です。

一度しかワクチンを打たない場合でもある程度の効果があり、その場合はだいたい3ヶ月ぐらい持つのだそうです。

ワクチンが原因でコロナに感染する可能性は?

これは非常によく聞かれる質問なのだと思いますが、パンフレットに書いてあって、なるほど、と思いました。

パンフレットには、ワクチンから感染する可能性はない、つまりワクチンが原因でコロナに感染することは「ありえない」とはっきりと書いてありました。

インフルエンザと違い、発病すると後遺症が残りやすい新型コロナ

ニュース報道には、ワクチン接種への不安を煽るような報道がたくさんあります。私ももし、治験会社で働いたことがなく、新薬に対する知識がまったくなかったら、きっと報道を聞いて不安になり、受けない、という選択をした可能性が十分にあったような気がします。

コロナはインフルエンザといっしょ、という人もいるのですが、決定的な違いは後遺症にあると言われています。

治れば完全にもとにもどり、後遺症が残らないインフルエンザと、味覚障害や、体のだるさ、禿げなどの後遺症に長く苦しむケースがとても多い新型コロナ。コロナの後遺症については治療方法が確立されておらず、治りにくいことも問題になっています。

私は薬はなるべく飲まないほうで、自分の免疫で直す、というのが普段の考え方なのですが、コロナの場合は、他人に感染させて死亡させてしまうケースがあるので、一人一人ができる限り感染予防につとめなければならないことは言うまでもありません。

また、自分がコロナに感染して治療が必要になると、病院や医療スタッフ、他のご病気で治療が必要な患者さんなどに無用な負担をかけてしまいます。そのようなことがあるので、私の場合はワクチン接種に躊躇や疑問を感じることはなく、案内が来た時にすぐに予約をして、さっさと受けてきた感じです。

接種後は、自分がもう発病しにくくなっているという自信から、感染することに対して怯えることがなくなり、とても気が楽になりました。今は早く2度目の接種を受けて、さらに安心感を高めたいという気持ちです。

この経験や情報が、まだワクチンを受けていない他の方の参考になれば幸いです。

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