ロンドンの詐欺物件に密着!|言葉巧みに20万円を入金させる手口とは?

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こんにちは。もずくです。

イギリス最大の日本語掲示板「MixB掲示板」で、一昨日、これは詐欺物件だろう、というのを見つけましたので、昨日テナントを装って詐欺師と連絡をとり、独自に調査をしました。その結果をお知らせします。

MixB掲載の物件詐欺の手口の全貌を公開

イギリスにお住まいの日本人のみなさま、魅力的な激安物件につられてお金を失ったりしないよう、十分にお気をつけください。

知人がこの詐欺物件を信用し、今にも£1390(約20万円)を振り込もうとしていたので、徹底的に調べました。

ことの発端は、こうです。

同じ職場の、ワーキングホリデーで日本から来て間もない男性スタッフT君が、「MixBですごくいい物件を見つけました!事情があって内見ができないのですが、もうお金を振り込んじゃおうと思って!」

と言うのです。

まあまあ、のんきなものです。

物件は大英博物館のすぐ裏のあたりにあり、トルコに移動になった家主が、お金目的でなく、部屋を管理してもらうためにテナントを募集しているのだとか。

だから、すごくいい物件なのに、激安だと。

私は最初、ふんふん、と聞いていたのですが、なーんかおかしいと思えてきて、

「それ、詐欺じゃないの??」となりました。

メールを交換したのなら、差し出し人のIPアドレスを探して、本当にトルコからメールがきているかとか、一応、調べてみたら?

そう勧めてみましたが、彼は気が進まない様子です。

なんか、私の心が汚いからそうやって疑うんだ、とは言われませんでしたが、「もずくさんがそんなに人を疑うなんて」的なことを言われ、メールの感じでは信用できそうだから大丈夫だろう、と彼は強調するのです。

たとえお金を失ったとしても、勉強代だからいいんです、と。

これが詐欺なら僕はイギリスを嫌いになります、と。

ちょっと心配だったので、

「じゃあ、私もその家主に連絡して問い合わせてみるから、物件のリンクを送って。まだお金は振り込まないでね。」

ということでその場は終わりました。

内見ができない理由とは?

そこで、物件募集のGメールのアドレスにメールを送り、まだ空いているかどうか聞いて、内見を申し込むと、まだ空いているけど内見はできない、ということと、その理由が返信されてきました。

なんでも、その大家さんのジョンさんという人は、小児科のお医者さんで、勤め先がトルコに移動になってすぐに引っ越さなければならなくなり、先週急に空きができた物件です、と。

あの物件は、お金ではなく、テナントに部屋を管理してもらい、綺麗に保ってもらうのが目的なのだ、とのことでした。(だからすごくいい物件なのに安い)

部屋の鍵は今トルコにあるので、1ヶ月分の家賃£695と敷金£695を合わせて£1390を入金したら、宅配便でロンドンに鍵を送る、と。

ふーーーーーーーーーん。

大家はトルコにいると言うけれど、メールの送信元はカリフォルニア

ということで、さっそくメールのヘッダを表示してIPアドレスを調べてみました。

差し出し元はトルコでなくカリフォルニアでした。

 

まあ、IPアドレスは操作できないこともないらしいので、これだけで決めつけることはできません。

とは言っても、トルコにいると言っていてトルコからメールがくるとあまり怪しくないのですが、送り主がトルコにいるはずなのにカリフォルニアからメールが来ると、なんだか怪しい感じがしてしまいます。

そこで、もう少し詳しく調べることにしました。

部屋の写真をGoogleで画像検索すると、別の物件がヒット

次にやってみたのは、MixBに掲載されていた写真をGoogleで画像検索してみる、というやつです。

するとなんと、ロンドンから遠く離れたマンチェスターという都市の物件がヒットします。

↓ジョンさんが掲載したロンドンの物件

↓Googleの画像検索でヒットしたマンチェスターの物件

まあ、これが出てきた時点で、ほぼ詐欺確定だとは思ったのですが、でもまだ・・・まだわからない!

もしかしたら、マンチェスターの方が違っていて、ジョンさんの情報が正しい可能性もゼロではありません。

そこで、ジョンさんがメールで送ってくれた画質のいい写真を拡大して、その写真の窓の外に見えるビルを探してみることにしました。

窓の外には、赤茶色で煉瓦造り、チョコレートを思わせるような特徴的な縦長の窓が写っています。

ということで、ロンドンVSマンチェスターの、両方の物件広告に掲載されていたストリート名から、Googleマップのストリートビューを使い、バーチャルで各地にレッツゴー!

 

その結果、ジョンさんの物件の窓から見えるであろう向かいのビルは、雪のように真っ白でした。

 

そして、マンチェスターの物件のミンスハル通りには、窓の外に写っていたのと同じ、チョコレートを思わせるあのビルがあります。

はい、ジョンさんクロ!

と、ここまでまとめた調査報告を、この話を持ち込んできたT君に連絡すると、彼はショックを受け、カレーを食べに出掛けてしまいました。

この詐欺物件に申し込みをしてみた

T君がカレーを食べに出掛けたあとも、覆面調査は続きます。

もずく「すごくいい物件なので、他の人に先に取られたくないから、お金を払って1ー2日キープしたいのだけどできますか?もし今すぐ£1390を払って、明日キャンセルしたとしたら、お金は全額返金していただけますか?」

と詐欺師を騙しにかかる、悪い子のもずくちゃん。

「もちろんだよ!でもその前に、申し込みフォームに記入してメールで送ってください」

と、詐欺師のジョンさん(嘘名)は、信頼性を高めるための余計なコマーシャルを挟んできます。

なので、ジョンさんのメールに添付してあった、こちらのめっちゃくちゃいいかげんな申込書に、こちらの情報を適当に記入して返信。

RENT APPLICATION FORM

すると、よく読みました、とすぐに返信が来て、RIAという現金送信システムを使ってお金を送るように言われました。

リア???

トルコにいるという家主に、アメリカでは?とカマをかけてみた

ここでジョンさんから指定されたRIAの現金送付の「引き出し通貨」が、「米ドル」になっていることに注目。

トルコにいるならトルコの通貨が便利でしょうに・・・

ということで、ちょっとつっこんでみることに。

そもそもメールの送付元がカリフォルニアだったので、アメリカ、アメリカときて、現在リーチの状態です。🇺🇸🇺🇸🇹🇷

詐欺師「お金を振り込んだら、広告をはずすからね」

もずく「OK・・・でもなぜ、アメリカドルなのかしら・・・?あなた、アメリカにいるの?」

さあ、居場所がバレそうになって絶体絶命のピンチ!

この後、ジョンさんはなんと答えるのでしょうか!!!

彼の答えは、「アメリカドルは世界の通貨で便利なんだよ」、的な無難なものでした。

ここは何も言わずにスルーします。

私「RIAの現金送付システムって使ったことがないから不安だわ。使い方が簡単だといいけど・・・」

と、などと言いつつ、

「銀行口座に振り込めるようにしてもらえれば私にとって簡単だし、イギリスの銀行口座なら今すぐに払える」として、銀行口座を聞いてみました。

すると、Rewire Bankという、まったく聞いたことのない銀行名で、イギリス式の銀行口座番号が送られてきます。

リワイヤ銀行??聞いたことないなあ。。。

Rewireについてネットで調べると、銀行というよりは、イギリスから海外にお金を送るサービスのようでした。

詐欺師の銀行口座にお金を送ってみた

という流れで、いよいよお金を送る、一歩前の段階です。

さあジョンさん、詐欺成功まであと一息!

私は「本当にお金が届くかどうか心配だから、最初に少額送って、その後残りを送りますね、ちゃんと届いたら連絡くださいね」

ということにして、£1(1ポンド、2021年のレートで150円ぐらい)を送金しました。

ここでわかったのですが、このRewireから銀行振り込みのような形でお金を送信する場合、口座番号と口座名義が一致しているかどうかの確認ができないらしいのです。

送金を確定する前に私のファーストダイレクト銀行のアプリから警告が出ました。

「相手側の銀行にそういう機能がないため、送金先のチェックができません。たとえ間違えた口座番号であってもそのまま送られてしまいますが大丈夫ですか?」

という警告です。

つまり、銀行口座のように見えますが、口座名義が違ってもそのまま送られてしまうという、銀行口座の振込先に「偽名が使える」パターンでした。

なるほどなるほど。。。

ということで、Continueをタップしてお金を送ってみました。

そして、ジョンさんにお金を送ったよ、受け取りましたか、と聞いてみると・・・?

受け取りました、という返事。

詐欺師に「お金を返して」と頼んでみると。。。

その後この詐欺師に、送った£1を送り返してほしいとお願いしてみることにしました。

先の約束では、お金を送った後でも、翌日にキャンセルしたら全額返金してくれるということでしたから、この£1を返金してもらうことも問題ないはずです。

ちなみにイギリスでは、別の銀行にお金の送金をしても手数料はかかりません。

私「お願いがあるのですが、先程送った£1を私の銀行口座に送り返してみてくれませんか?万が一キャンセルする場合、ちゃんと返金の手続きが問題なくできるか、念のため確認しておきたいのです。私の銀行口座は以下になります。」

さてさて、どうなるでしょうか。

これはジョンさんにとって、£1(150円)の銀行振り込みができれば、£1390(約20万円)が手に入るかもしれないビッグチャンスです。

ただし、私の銀行口座に£1を振り込めば、本名がバレてしまうので、もし仮に彼が詐欺師であれば、それはできないはず。

どういう結果になるかワクワクしながら待っていると、支離滅裂な返答が送られてきました。

この文章は英語がめちゃくちゃなのでよく意味がわからないのですが、たぶん、

お金は送れないけど、もし信用してないならパスポートの交換をしましょうとか、週末にロンドンに帰った時にこの£1は返しますとか。

もしそれができないならもう部屋は借りなくてもいいのです、とか?

まあ、一か八かに出ている感がありましたので、さらに追い討ちをかけてみました。

「意味がよくわからないのですが、銀行振り込みがまったくできないということでしょうか?オンラインバンキングを使えばできると思いますよ」

これに対して詐欺師、

「もちろんできます。でも信用できないのなら、他の物件を探してください。不躾ですみません。仕事で忙しいものですから。」

私、「了解です。問題ありません」

と、私は諦める感じでサラッと返信しました。

なのでこれで終わるかと思いきや、詐欺師はまだイケると思ったのか、再度パスポート画像を交換しようというメッセージが送られてきました。

そこで、

「パスポートのことは気にしてないのですが、万が一、お金を送ってからキャンセルが必要になった場合、速やかに返金できる手段があなたにないのが問題です。あなたにお金を送った後に、他の物件の敷金が払えなくなるのが困るのです。」

と送ってみました。プラス、

「あなたは銀行振り込みができないのですよね?」と。

するとジョンさん、「できる」と即答。

「だったら、さっき送った£1を送り返して」

その後、ジョンさんは、「来週にならないと送金できません。弁護士(Lawyer)が私の代わりにやってくれない限りは。部屋は必ず借りなくちゃいけないわけではないんです。」

私「OK」

ここで連絡は途切れました。

ということで、この詐欺師は、たった150円の銀行振り込みができないために、私から20万円のお金をとるのをあきらめたようです。

まあ、こう考えると、銀行のセキュリティシステムは強かったと言えるのかもしれません。

ちなみにここでもう一点つっこみどころが。

イギリス人は弁護士をLawyerとは呼びません。

Lawyer(ローヤー)というのはアメリカ式で、イギリスではSolicitor(ソリシター)というのが普通です。

はい、フィーバー、出た!! 🇺🇸🇺🇸🇺🇸

犯人はきっと、アメリカにいるよ!😊

まとめ:日本人は世界の詐欺師のいいカモです

このようなことは、イギリスではしょっちゅう起こります。

でも、この犯罪は、イギリス人がやっているものではないのです。

カリフォルニアに住む、あまり英語を話せない、きっとアメリカ人でもイギリス人でもない誰かが日本人をターゲットにしてやっている犯罪です。

なぜ日本人がターゲットにされるかというと、日本人がひっかかりやすく、効率よくお金を稼げるからに違いありません。

イギリスに住む日本人の方、とくに日本から来て日が浅い場合には、騙されてお金をとられ、悔しい思いをしないように十分に注意してほしいと思います。

イギリスの警察は、殺人や傷害罪、麻薬の密売人など重い犯罪を取り扱うのに忙しく、少しお金を取られたぐらいの軽犯罪に力を注ぐ余裕はありません。

さらに、このように犯人がイギリス国外にいる場合、犯人逮捕などありえません。警察がこの程度のことに時間を使って調査してくれることもありません。

たとえば車の事故が起きても、怪我人がいなければ、警察も消防も駆けつけてくれない、それがイギリスです。

自分の身は、最大限まで自分で守る。

そしてどうしても守れない部分は、国家や他人に助けてもらう。

日本でしっかり守られて生きてきた私たちには理解し難いことかもしれませんが、海外ではそのぐらいが常識なのです。

重要:この記事を書いた翌日の追記

はい、次の日になりました。

MixBの掲示板に、あの物件が詐欺物件であることを書き込み、詐欺物件へのリンクを貼って注意喚起をしましたが、注意喚起をした私の投稿は削除され、今でもジョンさんの物件はそのまま掲載されています。

また、T君はすでにジョンさんとパスポートの交換をしてしまったとのことで、ジョンさんのパスポート写真を入手することができました。

もちろん、これが詐欺師の本物のパスポートであるわけがありません。

誰かのものを不正に使っているのでしょう。

おそらく、イギリスのパスポートを持つジョンさんという人物は実在し、なんらかの方法で詐欺師にパスポートを送ってしまい、こうして犯罪に使われてしまっているのだと思います。

パスポートのサインの部分、拡大してよく見ると、画像の切り貼りをしているっぽいあとが見受けられます。

どこまで行ってもツメが甘い。。。「日本人、ちょろい」と思われている証拠です。。。😅

すでに詐欺師に送ってしまったT君のパスポート画像も、今後何らかの犯罪に使用される可能性がないとは言えません。

さてさて、大事なことなので繰り返します。

海外では大丈夫だろうと油断せず、自分の身は出来る限り自分で守ること。

もし、お金を振り込んでしまって、掲示板の情報に騙されたと被害を訴えたとしても、誰もあなたを助けてはくれません。

そうなったら後の祭り。

悔しさに耐え、泣き寝入りするしかないのです。

もずくちゃん
もずくちゃん

海外では、少しでも怪しい部分がある場合には、安易に信用せず、本当に大丈夫かよく調べ、石橋を叩き割るほどよく注意したうえで行動すること!

裕美さん
裕美さん

はい、賛成です!

それが海外で安全に暮らすコツですね!😊

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